「撮像素子はフル35mmなくても問題ない」は本当か

2011-05-18 12:50
Japanese Version

先日、日本のプロフェッショナル向けニュースサイト「ProNews」でUstream番組に出演した。後半はソニーの技術者を囲んでPWM-F3を持ち込んでの解説となった。その中でちょっと気になった話の流れがあったんだけど、現場では上手く言えなかったので、ここで整理したい。

ソニーのF3、あるいはPanasonic AG-AF100など、最近プロ用カムコーダでレンズ交換式、大判センサーを搭載したモデルが出てきた。大判といってもフル35mmではなく、F3はスーパー35mm(いわゆるハーフとだいたい同じ)、AF100はフォーサーズである。

大判センサーで動画を撮るという流れはキヤノンの5DmIIから出てきたわけだが、こちらはフル35mmセンサーである。これに対する、プロのカムコーダ会社からの答えが、この2つというわけだ。

もちろん動画専用のカムコーダなら、HD-SDIが出るとかXLR音声入力があるとか、5DmIIにはないスペックも差別化ポイントである。番組中ではセンサーはフル35mmなくても十分、という話のながrtが、その意見の根拠は不十分だったように思う。番組中では、

・35mmフルサイズだとボケ過ぎて縦方向の芝居が撮りにくい
         ↓
・せっかくのレンズを絞らないといけない
         ↓
・だから撮像素子はフル35mmより小さい方がいいよね

という話の流れだったのだが、よく考えたらこのロジックには穴がある。
まずレンズの特性で一番良い部分というのは、F4、F5.6、モノによってはF8ぐらいに絞ったあたりだ。このあたりが収差が少なく、しゃきっとした絵が出てくる。それぐらい絞ってもまだボケ過ぎというなら仕方がないが、ここからボケる方向に余裕を残してある環境のほうが、いろいろ使い出があるんじゃないかと思う。

もう一つはフル35mmセンサーだと、昔の35mm用レンズがそのまま使えるので、それらの特性的に良いところが使えるというメリットがある。

マイクロフォーサーズなどはフランジバックが短く、さらに豊富なマウントアダプタで様々なレンズが付けられるが、画角が狭くなってしまう。せっかく24mmのワイドレンズを持ってきても、50mm相当にしかならないというデメリットがある。それよりも、24mmのレンズであれば24mmの画角で写るほうが、光学設計的にも正しい特性での絵が出るはずだ。

F3のメリットを訴求するならば、PLマウントが基準なので映画用のPLレンズがアダプタなしでそのまま使える、というところをもっと前面に出すべきだった。つまり、撮像面積が小さい方がメリットがあるという論調は、ちょっと行き過ぎである。

5DmIIのおもしろさの本質はなんだったのかというと、写真用のレンズで動画を撮るおもしろさなんじゃないかと思う。そういう、たくさんのレンズの素の特性が引き出せるという方向では、5DmII、F3はストーリーが繋がるが、マイクロフォーサーズのAF100はそのストーリーからは外れたところで勝負するということになる。

ただ現実問題として、中国とは違い日本では映画撮影という需要がほとんどなく、さらにフィルム経験のあるカメラマンの需要も減ってきている現状で、PLレンズの資産を持っている会社がF3を買って仕事があるか、という問題がある。テレビCMは日本では大きな市場だったが、テレビ局の広告収入が減少する中、CMの制作費もコストダウンが進んでいる。それなら5Dでいいよ5Dで、という流れは、F3やAF100の登場をもってしても、止められないのではないか。
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